昨今、和風の住居が減り、畳の需要は減少傾向にあります。
さらに、安価な中国産の畳表が増え、その割合は全体の80%と言います。
つまり、国産の畳はわずか20%程度です。
平成元年には5,800軒あったイ草農家さんは平成28年には約480件と驚くほどの速度で減少しています。
このままでは国産の畳表は消滅する危険さえあります。
時代の流れとは言え、これは非常に寂しいと感じるのは私だけでしょうか。
では、なぜ、これほどの早さで国産の畳は減り続け、中国産の畳が増えているのか?
それには中国産にも大きなメリットがあるからです。
ここでは、国産の畳と中国産の畳の違いについてご紹介したいと思います。
両者にはそれぞれにメリット、デメリットがあります。
それぞれの違いを知り、目的に応じて使い分ける事が出来れば、国産の畳の繁栄にも繋がるのではないかと思います。
国産畳と中国畳の違い
畳の表面のゴザの部分を「畳表」と言います。
国産と中国産の畳の違いが顕著に現れるのがこの畳表です。
そこでここでは、畳表に絞って両者の違いについて紹介して行きたいと思います。
イ草が出来るまでの過程の違い
畳表はイ草を使って作られていますが、まずはそのイ草の製造工程の違いをご紹介します。
国産 | 中国産 | |
---|---|---|
イ草苗 | 国産苗使用 | 国産苗使用 |
土壌 | 農薬等をしっかり管理 | 管理が不明 |
収穫時期 | 6月下旬~7月上旬 | 5月下旬~6月上旬 |
染土 | 淡路島産など | 淡路島産など |
染土加工 | 天然染土のみ | 天然染土+着色料、染料などの使用 |
乾燥 | 時間をかけてゆっくりと乾燥 | 急速に乾燥 |
両者の違いのポイント
違いのポイント | |
---|---|
イ草苗 | 苗自体は変わらない |
土壌 | 国産は土壌管理が行き届いているが、中国産は不明瞭で農薬等の心配 |
収穫時期 | 収穫が早いと表皮が未成熟で表皮が傷みやすく、耐久性が落ちる |
染土 | 基本的に同じものが使われているが国産染土が中国産に不向きの可能性がある |
染土加工 | 中国産はイ草が未成熟で染まりにくく、発色を綺麗にするために着色料や染料が使われる。 |
ただし、イ草の表面の小さな気泡が目詰まりし、本来のイ草が持つ調湿性などの効果が失われる | |
乾燥 | ゆっくりと乾燥させる国産は適度な水分を含むが、中国産はほとんど水分がなくなり、表面が硬くなり、枯れたような発色になる。 |
さらに水分が無い事で傷みやすくなる |
加工の違い
イ草を加工する工程でも違いがあります。
国産 | 中国産 | |
---|---|---|
使用する機械 | 最新式 | 旧式 |
クリーン加工 | 特にせず | 表面に染色 |
両者の違いのポイント
違いのポイント | |
---|---|
使用する機械 | 旧式の機械では打ち込みが浅くなり、織目の仕上がりに違いが出る |
クリーン加工 | 中国産のイ草は染土だけでは綺麗に染まらず、着色する。 |
使っていると剥がれてくるだけではなく、イ草が持つ本来の効果、効能を失う |
国産畳と中国産畳のメリット、デメリットの一覧
では、つづいて、両者のメリット、デメリットの一覧をご紹介します。
国産 | 中国産 | |
---|---|---|
弾力性 | 優れている | 劣っている |
耐久性 | 優れている | 劣っている |
発色 | 綺麗で均一 | 色味にムラがある |
色落ち | しにくい | しやすい |
香り | 清々しい香り | 異臭がする事がある |
触り心地 | 適度な弾力で心地良い | 硬い |
浄化作用 | 様々な効果が期待できる | 期待できない |
安全性 | 安全 | 着色料、染料が心配 |
価格 | 高価 | 安価 |
両者の寿命は?
国産の畳に比べると一般的に中国産の畳は耐久性に劣ります。
色落ちしたり、表面がささくれたりするのが少し早いのです。
では、それぞれの寿命はどれぐらいなのでしょう?
これは一概に分かりません。
畳表の品質、使い方、環境によって大きく変わってくるからです。
一般的には、上手に使えば、畳表の寿命は新調してから3~4年、裏返ししてから4~5年
トータルで10年近くは使えると言います。
ただし、それは品質の高い国産の畳表の場合であり、品質の低い中国産ではそれほどの期間は期待できないと言えます。
両者の値段は?
では、最後に両者の値段についてご紹介します。
国産であれ、中国産であれ、品質にはランクがあるので、価格にも開きがあります。
コストパフォーマンスの高いランクを上手く選ぶのがポイントです。
国産の畳表
6,000円~80,000円程度
中国産の畳表
2,000円~7,000円程度
まとめ
いかがでしょう。
同じ畳表でも実はかなりの違いがあります。
そして、最近は畳のほとんどが中国産と言っても良い状況です。
逆に言えば、中国産の畳のコストパフォーマンスが高いとも言えます。
近年、畳業者が中国の生産農家さんを直接指導、契約し、その品質が高まっている事も大きな影響です。
決して、全ての中国産の品質が低い訳ではないので、良心的な業者さんを見つけ、安心できるコストパフォーマンスの高い畳表を選ぶのが大切なポイントと言えます。
いずれにしても、畳は「良く分からないけど、落ち着く」と言う方は多いと思います。
畳の魅力が存分に楽しめる良い畳と出会えると良いですね。
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