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畳は畳表、畳床、畳縁の3つから作られています。
とてもシンプルな構造ゆえに、それぞれの品質はとても重要です。
中でも、畳表は直接、肌に触れる部分です。
その種類と品質は畳の良し悪しを決めます。
最近は和紙などを利用した畳表もあります。
お好みに応じた畳表を選ぶと良いでしょう。
畳表とは?
畳床の表面を覆っている部分を畳表(たたみおもて)と言います。
畳表は直接、肌に触れるのでその触り心地がとても重要です。
従来の畳表はイ草と麻糸を織ったゴザが使われていました。
最近はそれだけではなく、和紙を使った物やナイロン製の物も出始めています。
畳表の種類とメリット、デメリットの一覧
最近はイ草だけではなく、新しい素材が工夫されている物があります。
それぞれに一長一短ありますが、まずはその種類ごとのメリットやデメリットの一覧をご紹介します。
素材 | 国産イ草 | 中国イ草 | 和紙 | 樹脂 |
---|---|---|---|---|
価格 | 高価 | 安価 | リーズナブル | 安価 |
耐久性 | 優れている | 低い | 優れている | 特に優れている |
メリット | 肌に優しい | イ草でありながら安価 | イ草に近い触り心地 | カラーバリエーションが豊富 |
調湿作用に優れている | 適度な弾力 | 色落ちが少ない | メンテナンスが楽 | |
適度な弾力 | 調湿作用がある | メンテナンスが楽 | カビやダニの発生率が低い | |
浄化作用に優れている | カビやダニの発生率が低い | 変色しにくい | ||
子供の集中力が上がる研究報告あり | ||||
デメリット | 丁寧なメンテナンスが必要 | 着色料が使われている可能性 | 自然な風合いに劣る | 表面がテカる |
色落ちする | 自然な風合いに劣る | 見た目が機械的 | ビニールっぽい | |
カビが発生する可能性がある | 色ムラがある | イ草の香りは無い | イ草の香りは無い | |
シミになる可能性 | 色落ちが激しい | 調湿作用はない | 調湿作用はない | |
カビが発生する可能性がある | ||||
シミになる可能性 | ||||
丁寧なメンテナンスが必要 |
イ草が持つ6つの魅力と効果
畳表は古くからイ草を材料に作られてきました。
イ草の畳には数多くの魅力とメリットがあります。
日本人に限らず「何となく落ち着く」と感じるのはこの魅力とメリットが理由かもしれません。
・空気の浄化作用
・調湿性に優れている
・断熱性と保温性
・心地良い弾力性
・吸音効果
・難燃性
空気の浄化作用
畳の部屋に入ると何となく、清々しい気持ちよさを感じませんか?
これはイ草の浄化作用が理由なのかもしれません。
イ草の中にはスポンジのように小さな穴が無数に開いています。
その為に、空気がその中に入り込みます。
ところが、この穴には二酸化窒素などの有害物質を吸着する働きがあります。
その為に空気が自然と浄化されるのです。
最近はシックハウス症候群などの症状が悩まされる方が多いですが、これらの原因となるアセトアルデヒドやホルムアルデヒドなども浄化する効果も持っています。
ただし、表面を着色料などで覆ってしまうとこの効果はなくなります。
その為に、着色料を塗った畳は出来るだけ避ける必要があります。
調湿性に優れている
イ草と藁は天然の植物です。
その為に空気に触れると湿気を吸ったり、吐いたりします。
この働きの為にイ草の畳には湿度を調整する効果があります。
畳の部屋が夏涼しく、冬暖かいのはその為です。
ちなみに畳一畳分で約500mlの吸湿能力がある事が分かっています。
古くから畳が使われ続けているのは日本の湿度の高い気候にとてもマッチしている素材だからなのでしょう。
断熱性と保温性
畳は優れた断熱性と保温性を持っています。
これは畳がたっぷりと空気を吸ってくれるおかげです。
空気は熱を伝えにくい性質を持っています。
その為に空気を蓄える事が出来る畳は夏の暑さを遮断し、冬は部屋の中の暖かさを保つ働きをしてくれるのです。
このように優れた断熱性と保温性は「冷暖房が利きやすい」と言う利点を持っています。
心地良い弾力性
畳にはとても心地良い弾力があります。
これはイ草がスポンジのような特徴を持っているからです。
イ草の中には無数の穴が開いており、これがスポンジの役目をしているのです。
また、イ草の穴の中には空気が詰まっています。
更に、畳床は40㎝ほどの藁を5㎝程度まで圧縮して作られます。
これらがあの心地良い弾力を生み出しているのです。
吸音効果
先ほどもお話ししたようにイ草の中には無数の穴が開いており、空気をたっぷりと蓄えています。
その為に音を遮る効果にも優れています。
しっかりと蓄えた空気が緩衝材となり、音を吸い取ってくれるのです。
畳の部屋は何となく、落ち着くのはこの吸音効果による影響も大きいのでしょう。
難燃性
実は畳は燃えにくい一面を持っています。
これは藁を強く圧縮しているためにです。
一見すると燃えやすい紙でも何重にも重なった電話帳などを燃やすのは容易ではありません。
畳もこれを同じ特徴を持っています。
さらに畳は調湿性に優れているのでいつも適度な湿気を含んでいます。
その為に、すぐに火が燃え広がるという事がありません。
余程の火でなければ、くすぶる程度で収まります。
お寺や神社のように線香や蝋燭を扱うような場所では畳が大切な文化財を守る役割も果たしているのです。
さらに万が一、火災になっても、有毒ガスを発生させる事もありません。
畳の短所
上記のように畳にはとても大きな魅力と効果があります。
ですが、その反面、短所ももちろん、あります。
次はその短所についてご紹介します。
・カビやダニ
・丁寧なメンテナンス
・汚れやすい
カビやダニ
イ草は優れた調湿性を持っています。
ところが、この調湿性が仇となる事があります。
それがカビやダニの発生です。
換気を怠るとイ草は湿度を吸い過ぎて、逆にカビやダニが発生してしまうのです。
これを避けるには定期的な換気がとても大切です。
丁寧なメンテナンス
イ草は天然の素材です。
その為に、丁寧にメンテナンスする必要があります。
重い家具を置くと、その重さで変形します。
また、基本的はほうきと雑巾のからぶきです。
掃除機を使う場合は畳の目にそって丁寧にかける必要があります。
また、ロボット掃除機は畳には向いていません。
汚れやすい
コーヒーや醤油など色が濃い飲み物をこぼすとすぐにシミになります。
イ草が吸ってしまうために、綺麗に拭き取る事はとても難しいです。
素材別畳表の特徴
続いて、畳表の素材別の特徴についてご紹介します。
国産の畳表
品質を求めるなら、何と言っても国産の畳表です。
イ草の香り、耐久性、触り心地、いずれも素晴らしく、畳本来の魅力を十分に味わう事が出来ます。
国内では熊本・福岡・広島・岡山・高知・石川などで生産されていますが、最も多いのが熊本です。
なんと、国内の生産の9割以上が熊本です。
それぞれの産地により特徴がありますが、特に広島さんは伝統的に高い品質を誇ります。
また、熊本産は圧倒的に生産量が多い事から品ぞろえが豊富で、品質に合わせて選ぶ事が出来ます。
国内イ草は耐久性がとても優れています。
イ草の変色自体を防ぐ事は出来ませんが、時間と共に艶が出て、味わい深い経年変化を楽しむ事が出来ます。
高級なイ草であれば、青色から黄金色に変化するのを楽しめるでしょう。
また、織目が細かく均一で見た目も美しいのが国産畳表の特徴です。
中国産の畳表
中国産の畳表の一番の魅力は安さです。
現在、日本で流通している畳の70%は中国産のイ草が使われています。
国産と比べると風合いや織目の美しさは敵いません。
ただ、現地と提携し、品質の高いイ草作りを目指している業者も現れ、最近は、かなり品質が高まってきました。
とはいう物の、農薬や着色料の問題など、まだまだリスクもありますので、中国産を選ぶ時には注意が必要です。
和紙の畳表
最近とても注目されているのが和紙を使った畳表です。
和紙を「こより」状にし、織り込み作られた物です。
色落ちが少なく、見た目も触り心地もイ草にとても近いと好評です。
また、色落ちもなく、耐久性にも優れています。
こうして見ると非常にメリットは多いです。
ただ、イ草ではないので、イ草が持つ香りや調湿性や浄化作用などはありません。
また、織目が均一すぎて機械的なのがデメリットです。
樹脂の畳表
最近は樹脂製の物も出てきました。
カラーバリエーションが豊富で濡れても平気なのでメンテナンスがとても簡単です。
インテリアに合わせてコーディネートしやすいメリットがあります。
ただ、畳本来のイ草の良さは全くありません。
また、表面もビニールぽさが残るのは仕方がないところです。
まとめ
いかがでしたか?
日本の文化の一つと言って良い畳表ですが、最近は様々な種類の物が出てきたので選ぶ楽しさが増えました。
それぞれに一長一短がありますので、その違いは知っておきたいところです。
ニーズに応じて選ぶ事が出来れば、より素敵なお部屋作りが出来ますよ。
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